2022-07-25 農学府 藤井義晴研究室「ヘアリーベッチを使った根圏土壌の健全化」

農学部地域生態システム学科の1年生のサツマイモの植え付けの実習を見学したとき、生物生産学科の本林隆先生が、植えたばかりのサツマイモの苗に、スポイトで青緑っぽい液体をかけていたワン。

何をしているのか聞いてみると、作物の根っこの周辺である根圏土壌を健全にし、サツマイモの収量を増やす研究だそう。
とっても気になったので、詳しく教えてもらったワン!

この研究は、CRESTという国の研究プロジェクトの一環で、藤井義晴特任教授を中心に行っているもの。
CRESTは、日本が直面する重要な課題の克服に向けて、科学技術イノベーションにつながる卓越した成果を生み出す大型の研究だワン。
藤井先生たちは、「根圏ケミカルワールドの解明と作物頑健性制御への応用」のプロジェクトのメンバーとして、「ヘアリーベッチ」という植物を活用して、根圏土壌を健全にする研究を進めているワン。

ヘアリーベッチは、マメ科の植物で、藤井先生が長年研究してきたもの。
農家さんで、ヘアリーベッチを育てた土壌では、作物が病気や虫に強くなり、雑草を抑えることができると聞いた藤井先生が調べてみたところ、ヘアリーベッチには、「シアナミド」という成分が含まれていて、それが雑草抑制作用があることを発見したワン。
でも、ヘアリーベッチを育てた土で、そのあとも作物が病気や虫に強くなる理由は、ずっとわかっていなかったワン。

CRESTの研究で、藤井先生が、本林先生たちと一緒に、農工大の圃場でヘアリーベッチを育て、その土壌を調べてみたら、「オカラミン」という物質があることを見つけたワン。
オカラミンは、オカラの上で「ペニシリウム」という青カビの仲間が育ったときに作られる物質。
殺虫作用があり、人や植物には無害なことがわかっているワン。

ヘアリーベッチの根っこに共生するペニシリウムの仲間が、オカラミンを作り、それを土壌に残してくれることで、そのあと栽培する作物に良い影響が出ると考えられるんだワン。

サツマイモには、カビの一種が原因で起こる「基腐病(もとぐされびょう)」という病気があるワン。
感染力が強く、短期間で被害が拡大し、収量が3割も減ってしまう怖い病気で、問題になっているワン。
ヘアリーベッチが、基腐病からサツマイモを守ってくれたら、きっと農家さんも大助かりだワン!

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