2022-01-31 農学部地域生態システム学科 戸田浩人研究室「メープルシロップの糖度」

金曜日に続き、農工大 農学部 地域生態システム学科の戸田浩人教授の研究室を見学させてもらうワン!

こちらの学生さんは、修士1年生。
メープルシロップに使われるカエデの樹液に含まれる糖度が、どういう場所に生えると高くなるか研究しているワン。
メープルシロップといえば、カナダのものが有名だけど、実は日本に生えているカエデの樹液からも採れて、埼玉県などでは、国産のメープルシロップも作られているワン。

学生さんは、森林に関係するものとして、メープルシロップが産業になれば話題になると考え、研究テーマに選んだそうだワン。
カエデの樹液を煮詰めて濃縮したメープルシロップの糖度は60度。
もとになる樹液の糖度が高ければ、煮詰める時間が短くて済み、コストや手間が減らせるワン!

農工大の演習林で、成熟した栄養の多い土壌と、林道を作るときに切り崩された栄養の少ない土壌で、自生している「ウリハカエデ」の葉っぱと樹液を採取し、葉っぱの栄養と樹液の糖度の関係を調べたところ、葉っぱに含まれる窒素やリンが多い方が、樹液の糖度が高いことが分かったワン。
土壌が豊かなところに生えているカエデの方が、甘い樹液が出るんだワン!

そもそもメープルシロップのもとになる樹液は、どうやって作られているのかワン?

実は、甘い樹液が採れるのは冬だけ!
カエデの木は、夏に光合成で作った糖を根っこに貯蔵しているワン。
その糖が、冬になると、樹液として春に芽吹く葉っぱに届けられるんだワン。

ちなみに、日本でメープルシロップを採るのによくつかわれるのは「イタヤカエデ」という木だワン。
この研究で、ウリハダカエデが選ばれたのは、名前の通り「瓜」のような樹皮で、葉っぱがついていなくても見つけやすいから。
3年生の冬にテーマが決まり、4年生の卒業論文で結果をまとめるには、テーマが決まってすぐに樹液の採取を始めなければならず、「冬に落葉していても見分けられる木」を選ぶ必要があったんだワン。

実験の様子も見せてもらったワン。
写真1枚目で学生さんが使っているのは、研究試料を燃やすための装置。
この装置を使って、細かくしたカエデの葉っぱを酸に漬けたもの燃やし、リンなどの含有量を分析するワン。

写真2枚目の機械では、試料を燃やして、その中に炭素と窒素がどのくらい入っているか分析できるんだワン。

写真3枚目は、試料の葉っぱの粉末。
ハッケンの前にあるのは紅葉している11月のもの、コウケンの前にあるのは9月の葉っぱだワン。
木は、紅葉時や落葉時に、葉っぱにある窒素やリンを引き戻す「転流」をするので、緑の葉っぱと紅葉している葉っぱでは、色だけじゃなくて、含まれる栄養も違うんだワン。

写真4枚目は、演習林での樹液採取の様子。
カエデの幹に、ドリルで深さ2cm直径5cmの穴をあけ、自作の採集用の管を取り付けてあるワン。
2週間ごとに3度回収し、毎回2~3リットルの樹液が取れたんだワン。

学生さんは、事前の下見、樹液採取装置の設置、そして樹液回収や葉っぱの採集と、研究のために演習林に何度も通ったワン。
群馬県にある演習林は、冬はとっても寒く、なんと猛吹雪の日もあったそう。
演習林での作業は大変だけど、戸田先生や研究室の仲間たちがお手伝いしてくれたんだワン。
戸田先生の研究室では、メンバーの研究をみんなで協力して進めるので、自分の研究には関わりのないフィールドにお手伝いで行くことも多いそうだワン。

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