2021-12-17 農学部地域生態システム学科 加用千裕研究室「パーム搾りかすの活用」

農工大 #農学部 #地域生態システム学科 加用千裕准教授の研究室に来たワン。
論文を執筆中の修士1年生の学生さん、画面には難しそうなシミュレーションが表示されているワン。
どんな研究をしているのかワン?
集中しているところにちょっとだけお邪魔して、お話を聞いたワン。

こちらの学生さんは来年から、インドネシアのガジャマダ大学に1年間留学し、パーム(アブラヤシ)の搾りかすを発電に利用する研究をするそうだワン。

果実からとれる油脂を目的として栽培されるパームは、インドネシアやマレーシアで世界の8割が生産されているワン。
パーム油を見たことがある人は少ないかもしれないけど、実は石鹸に入っていたり、ポテトチップの揚げ油に使われていたりと、身近なものなんだワン。

油を搾ったあとに残るのが、種と皮。
実全体の4割を占めるこの部分は、パーム工場で燃料として使われているけど、量が多いので全部は消費しきれず、ゴミになってしまうんだワン。
一方、パーム工場からは、排ガスとして燃料になるメタンが排出されていて、地球温暖化への影響が問題になっているワン。

そこで、学生さんが研究しようとしているのは、燃料になるけど、輸送しづらい排ガスを、パーム工場で燃料として使ってもらい、輸送しやすいパームの種や皮を、日本に輸出して発電所で使ってもらう仕組み。
ゴミになっていたパームの搾りかすが、バイオマス燃料として有効活用されるワン!

バイオマスといえば、最近よく耳にするのが「カーボンニュートラル」。
排出してしまった温室効果ガスの量から、吸収した量や除去した量を差し引いた合計をゼロにすることだワン。
この仕組みのカーボンニュートラルは、発電のためにパームの搾りかすを燃やしたことで発生する温室効果ガスを、農園のパームの樹々が吸収することになるワン。
カーボンニュートラルを考えると、発電のためにパームの種や皮を買い上げる日本の企業が、燃料を供給するパーム農園の管理についても目を向ける必要があるワン。

パーム農園は、現地の人たちにとって大きな雇用を生み出す大切な産業である一方、熱帯雨林を開拓して広げられるから、環境問題にもなっているワン。
日本と農園のつながりを考えた仕組みづくりを通じて、より良いバイオマスの利用の仕方を学びたいという学生さんの取り組みは、現地の産業を守り、環境を守ることにつながるワン。

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