2024年度TAMAGO採択課題
医科学と昆虫学の融合による新たなRNAウイルス感染モデル系の確立
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研究代表者:?井上 真紀 教授
(農学研究院?生物制御科学部門)
?「シン?モデル 研究チーム」
世界中でパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症のように、医療技術が進歩した今なお私たちは感染症の脅威にさらされています。こうした感染症の予防法や治療法の開発には、感染症の原因となる病原体とその宿主との相互作用の理解が必要です。しかし、マウスなどの哺乳類が用いた動物実験は、近年では動物愛護や研究倫理の高まりによって制約が厳しくなってきました。そこで新たな感染モデル生物として注目されるようになってきたのが、昆虫です。昆虫も哺乳類と似たような自然免疫応答や組織病理学的効果を示しますが、取り扱いは容易です。
このため私たちは、病原体のなかでもゲノムに変異が生じやすく被害が大きいRNAウイルスに着目し、昆虫の自然免疫や非免疫性の生体防御反応を調べることで、RNAウイルスに対する新たな感染モデル系を確立していきたいと考えています。そして、その成果が人の病原体との相互作用への理解への深化に繋がることを期待しています。
「シン?モデル 研究チーム」メンバー
井上 真紀 | 教授 | ?農学研究院 生物制御科学部門 |
播磨 勇人 | 助教(テニュアトラック) | ?農学研究院 動物生命科学部門 |
篠原 恭介 | 准教授? | ?工学研究院 生命機能科学部門 |
福谷 洋介 | 助教? | ?工学研究院 生命機能科学部門 |
バイオマス資源を活用した持続生産可能な導電性デバイス材料の創製
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研究代表者:?岡田 洋平 教授
(
農学研究院?応用生命化学部門)
?「バイオマスデバイス材料研究チーム」
私たちの身の回りにある材料は、有機物と無機物に分けることができます。プラスチックに代表される有機材料は軽くて加工しやすいものの、熱に対する安定性が低く、近年では気候変動などの環境問題への影響も懸念されています。一方で、金属に代表される無機材料は重くて加工しにくいものの、熱に対する安定性が高く、電気が流れたり磁石にくっついたり、有機材料にはない特徴を持っています。それでは、有機物と無機物を混ぜ合わせると、どんな材料になるでしょうか?電気が流れるビニール袋や、磁石にくっつくペットボトルができるかもしれません。これを有機無機ハイブリッド材料といいます。ここで重要なことは、有機物と無機物を「ナノレベル」あるいは「マイクロレベル」でしっかり混ぜ合わせることです。
私たちの研究チームでは、プラスチックに代わる有機材料としてセルロースに注目し、「電気が流れる紙」を作り出すことを目指した研究に取り組みます。
「バイオマスデバイス材料研究チーム」メンバー
?岡田 洋平 | 教授 | 農学研究院 応用生命化学部門 |
?小瀬 亮太 | 准教授? | 農学研究院 環境資源物質科学部門 |
?花﨑 逸雄 | 准教授? | 工学研究院 先端機械システム部門 |
?田畑 美幸 | 講師? | 工学研究院 先端電気電子部門 |
ヒトノロウイルス?難分離ウイルスのための新たな分離培養方法の開発
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研究代表者:?大場 真己 准教授
(農学部附属感染症未来疫学研究センター)
?「難分離ウイルスの分離方法研究チーム」
ヒトノロウイルスは、食中毒や感染性胃腸炎の原因ウイルスです。世界で年間20万人もの人がこのウイルスが原因で亡くなっています。感染を防ぐワクチンが世界的に求められていますが、ヒトノロウイルスが培養困難であるが故にその開発は殆ど進んでいません。
そこで本研究チームは、ブタから腸管オルガノイドと呼ばれる特別な細胞塊を作成し、そこからヒトノロウイルスが感染できる培養細胞株を樹立することを目指します。ヒトノロウイルスは、感染者の細胞膜由来の膜に包まれて排出されることが分かっています。ウイルスを包む細胞膜は、ウイルスを効率よく細胞に感染させるのに役立ちます。私たちは、農工大の強みである農(=ブタの腸管オルガノイド由来細胞作出)と工(=人工細胞膜の作成)の連携によって、新たなヒトノロウイルスの培養方法を開発し、ワクチン開発に貢献したいと考えています。
「難分離ウイルスの分離方法研究チーム」メンバー
?大場 真己 | 准教授 | ?農学研究院 動物生命科学部門 |
?臼井 達哉 | 准教授? | ?農学研究院 動物生命科学部門 |
?内田 紀之 | 特任講師? | ?工学研究院 応用化学部門 |